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Kazuaki Hashimoto(Professor)

キーワード:無機化学 / セラミック材料科学 / バイオマテリアル / 固体化学 / 無機材料化学 / 生体セラミックス

自分の骨に置き換わる生体セラミックスをつくる

 骨や歯の硬組織代替材料として有名なハイドロキシアパタイトやβ型リン酸三カルシウムなどの緻密体や多孔体の製造と材料評価を行っています。また、生体吸収性材料であるβ型リン酸三カルシウムと高分子接着剤とを配合して得た新しい骨セメントも研究開発も行っております。このような生体セラミックスの開発・研究によって、高齢化社会に対応した骨疾患・骨折や骨欠損した患者の生活の質(QOL)の向上をめざしています。

   詳細な研究活動については研究室HPをご覧下さい。

研究室HP

https://cit-appchem.com/inorg-group/nnwp


無機材料化学研究室(橋本研究室)

 私の研究室では,三大材料のなかのセラミック材料分野における生体セラミックスの創製と評価を中心にものづくりを研究しています。

 

◎緻密なリン酸カルシウムセラミックスの開発

   骨や歯の生体硬組織の代替材料として注目されているハイドロキシアパタイト(HAp)およびβ型リン酸三カルシウム(β-TCP)の調製とキャラクタリゼーションを行っています。とくにβ-TCPセラミックスは生体親和性が高く,骨置換性および骨充填能を有するため生体材料として利用されています。β-TCPを生体材料としてもちいる場合,生体内での骨吸収速度が骨形成速度と適合し,また,機械的強度が自家骨と同等であることが理想的であります。しかし,β-TCPは自家骨と比較すると溶解度が高く,機械的強度が低いことが問題点とされています。

 この問題点を改善するためにβ-TCPのCaイオン位置およびPイオン位置に各種金属イオンを置換固溶させることで,機械的強度の向上,熱安定性の改善および溶解性の制御を目指しています。


β-TCPの緻密質焼結体

β-TCPの顆粒体


◎多孔質なリン酸カルシウムセラミックスの開発

 骨欠損部の充填剤としてβ-TCPなどのリン酸カルシウム材料が臨床使用されています。そのうち,多孔体は気孔性状が細胞伸展するためのよい足場材料となることで知られているため,当研究室では,多孔体の調製方法に着目して研究・開発しています。

 具体的には,界面活性剤を用いた発泡法を用いて各種起泡剤がえられた多孔体の気孔に及ぼす影響を検討したり,連通孔と規則的空間構造もつ3Dプリントした高分子製鋳型に用い,焼成時には鋳型が焼失するとともに,その鋳型形態を継承した多孔形状を有するβ-TCP多孔体の研究開発も行っております。

β-TCPの多孔質焼結体


規則空間構造をもつβ-TCPのX線CT画像

 

◎リン酸カルシウムセラミックス質の新たな骨セメントの開発

 現在,PMMA骨セメントが人工関節の固定で広く使われています。我々は骨セメントに優れた接着性をもたせるためにシアノアクリレート接着剤に着目しました。シアノアクリレート接着剤は,医療用接着剤として用いられ,とくに瞬間接着剤としても使われており,優れた接着性を示しています。

  当研究室では、生体親和性が高く、生体内で自家骨に置換するさまざまな組成をもったβ-TCPにシアノアクリレート接着剤を混合させて新たな硬組織用骨接着剤を開発することを目指しています。


 私の研究室を簡単に紹介しましたが,読んでみて興味を持たれたのであれば幸いです。

 研究室を見学したい,不明な点や聞いてみたいことがありましたら,メールを頂ければと思います。

問い合わせ先

メールアドレス:kazuaki.hashimoto(at)p.chibakoudai.jp